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誰でも、自分の思い通りに生きられ、心から「生きていてよかった」と思えるような人生を送ることができれば、それ以上の幸せはないですよね。しかし、人は、時に、認知症になったり、精神障害や知的障害になったり、日常生活に不安を感じたりする状態になって、自分の思い通りに生きることが困難になることがあります。そのような状態になった方たちに「生きていてよかった」と思っていただけるように、地域福祉権利擁護事業に携わる福祉関係者などが一生懸命サポートしています。
厚生労働省の試算では、平成32年には認知症高齢者が300万人に迫ると言われています。医療の進歩によってアルツハイマー型の認知症などは、進行を遅らせるようになるかもしれませんが、認知症高齢者をゼロにすることは難しいのではないかと思われます。私共の公証役場に来られる方の中には「わたしは絶対ボケません」と言い切る元気な老婦人もいらっしゃいますが、こればかりは何とも言えません。
「任意後見制度」は平成12年4月にスタートしました。将来、ご本人が高齢や病気・事故などによって精神上の障害が生じ、判断能力が不十分になった時に、決めておいた人(受任者)に「ご本人の生活、療養看護や財産管理の仕事(法律行為)をしてもらうよう、あらかじめ契約しておくことから始まります。ご本人の判断能力が不十分になっても、信頼して依頼した受任者に、契約した内容のとおりの仕事をしてもらえます。そのうえ、その仕事を、判断能力が不十分になったご本人に代わって、家庭裁判所が選任した人(任意後見監督人)とその裁判所が監督してくれます。
この制度を利用することによって、社会問題になっている高齢者への虐待や振り込め詐欺、詐欺まがい商法の被害などを防止することができることもあり、そして何よりも、ご本人が「もし認知症になっても心配ない」という気持ちになれ、前向きに明るく生きるためには大きな意義があると思います。「成り行きにまかせる人間は、みんなふさぎ込んでいるものだ」という先人の言葉があります。成り行きにまかせず、任意後見制度を利用してみようと思われる方は、福祉サービス利用支援センター、市町村社会福祉協議会、または公証役場に相談してみてはどうでしょうか。きっと「安心」が手に入ると思いますよ。 |
徳島公証役場 公証人 安田 高英氏 |
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【連絡先】徳島公証役場 TEL.088-625-6575
鳴門公証役場 TEL.088-685-7982 |
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