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| 自分でどうしていくかという目的を見出す |
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もともと東京のパーキンソン病友の会に入っていたんですが、東京から送られてくる会報誌だけでは情報が十分に集められないと感じていたんです。全国パーキンソン病友の会徳島県支部を設立したのは、地元の人たちと連絡を取り合うようにしたかったから。情報交換をしたり、他のパーキンソン病の人が工夫している点を活用させてもらったりしています。医療関係の専門職の人を招いて勉強会をすることもあります。
定例会の中心は、やっぱりお互いに話しをすることですね。「おたくのところはどうしてますか?」から始まって、生活の工夫や病気の知識を学んでいき、自分や家族が病気とどう共存していくかを見つけていく。最終的には病気と共存しながら、どうやってうまく生きていくかということになります。セルフヘルプグループというのは、自分でどうしていくかという目的を見出す会なんですよ。それ以上でも、それ以下でもないと思っています。
僕自身、もし難病にかかって、どういう症状になっていくか医者から説明を受けたとしたら、とりあえずその病気の当事者の話を聞いてみようという発想になると思うんです。難病を告知されてどういう行動を取ったか、どういう考えに至ったか、その人の実際の生き方を見ることによって、僕自身の生き方の軌道修正をしていくでしょうね。その役割を果たすのがセルフヘルプグループだと思います。 |
| *パーキンソン病=脳の神経細胞のひとつであるドーパミンが減少し、手足の震えや動作の緩慢などが起こる病気 |
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打樋
茂之さん
全国パーキンソン病友の会
徳島県支部事務局長・パーキンソン病ピアカウンセラー |
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| 慰め合うのではなく、励まし合う |
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医療従事者の動きとして、患者会においてピアカウンセリングを取り入れているところが多くなっています。ピアというのは仲間という意味で、同じ背景を持つ人同士が対等な立場で話しを聞き合うことがピアカウンセリングです。発症したばかりの人に、これから重症化していく過程を患者会で説明するケースの場合、自分の病気を知って最初はひどく落ち込みます。でもそこで仲間がいるから自分もがんばろうという気持ちになれるのがピアカウンセリングの効果です。
しかしこのピアカウンセリングを医療従事者だけで行うのは難しい部分もあります。やはり同じ経験を持つ人たち、つまりセルフヘルプグループであれば、経験を生かしながら相談に乗ることができ、さらに自立していくためのサポートもできるわけです。
ALSの会でも、発症したばかりの人の家族が、在宅で療養している人のところに来て、さまざまな細かい相談をしていきます。病名はいつ本人に告げたらいいのか、呼吸器をつけた方がいいのか、寝たきりになってどうやって生きがいを見つけていけばいいのかなど。うちの会はそういう相談の場でもあります。
最初、自助グループという言葉に抵抗がありました。ALSの患者は誰かに助けてもらわなければ生きていけないのに、自分たちでどうやって助け合えるんだろうかと。でも今精神面ですごく自助ケアしています。慰め合うのではなく、お互い励まし合い、がんばろうって。 |
*ALS(筋萎縮性側索硬化症)=神経難病のひとつ。
四肢・呼吸器などの筋肉が徐々に痩せて、力がなくなっていく病気。意識は鮮明な状態のままである。 |
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松浦
智恵美さん
健生佐古診療所看護師長・日本ALS協会徳島県支部所属 |
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| 自分の弱い面を出し合うことができる |
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3年前から、SHCという神経難病に関する疾患の人たちの会に参画しています。もともと「どりーまぁサービス」の仲間と、住民の立場にこだわった活動をしているんですが、セルフヘルプグループの人たちと僕たちの活動を結び付けられないかという話があり、協力させてもらうようになりました。NPOの活動が自助グループの人たちにとって力になるのであれば当然かかわっていくべきだと考えたからです。
僕はよく患者会の集まりの場に出かけていくんですが、患者さんの言葉はとても説得力があり、励まされます。人間というのは誰でも強い面と弱い面の両方を持っているでしょ。でも社会というのは強さと強さがぶつかり合うために、勝ち負けになって弱者が出きてしまう。だから会社でも学校でも弱い面を見せることがなかなかできない。患者会の人たちは自分の弱い面を出し合っています。それができるのがセルフヘルプグループなんです。お互いに弱い面を出しながら自立に向けてがんばっている。ALSの患者の人が一時間かけて一本の線を引いて、コンピューターでお城の絵を描いたりするのを見ると、健常者がパソコン苦手だからと言うのは通用しないですよね。人間の生きる力を内面から波動のように感じさせるのは、すごい力だと思います。僕は自分自身の励みや癒しのためにセルフヘルプグループの活動を続けている部分もあるんです。 |
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山口
浩志さん
NPO法人どりーまぁサービス代表
徳島県神経難病自助ケア研究会事務局 |
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